2010年5月22日土曜日

BBQ

面接官 「あなたの趣味について教えてください」

受験者 「それはもうBBQですね。BBQは社会であり仕事であり人生だと思うんですよ。参加者を募るさいに誰に声を掛けるかってところから幹事としての腕が問われていてですね、これは結婚式と同じであとあと「誘われなかった」みたいなクレームが出ないように会の趣旨をはっきりさせないといけません。これはつまり誘いたいと思う参加メンバーの最大公約数的な要素を抽出して会の趣旨にするってことです。そしてそのプロセスはトランスペアレントであるべきです。当日雨降ったりなんかしたら最悪なので、そういったリスクファクターも頭に入れてコンティンジェンシーをあらかじめ考えておくのも大事ですね。さらに食材の調達。これは参加者の胃袋のキャパシティを考え必要十分な量をオーダーしなければなりません。サプライチェーンでいう原料購買のセンスが求められます。それから何より肝心なのが火起こし。人と猿を分かつものは火起こしであると言ってる学者もいるそうですが、これがまた難しい。なかなか炭に火がつかなかったりね。参加者が集まったときに火が起こせてないとそれだけで空気がダルになりますから。かといって早く火を着けすぎると最後までもたなかったり。無事火がついたらついたで、つぎは真っ黒の備長炭みたいな表情をしてる参加者の会話をうまく盛り上げる、まぁそこまでしなくても話しやすい雰囲気をつくることが必要です。これは本質的には火起こしと同じで、ある程度まで風をおくって火がついたら、あとは勝手に燃え広がっていくんです。このあたりBBQが社会であり人生という所以ですね。皆が楽しげに話している間も幹事はつねに火に目を配りつつ肉を裏返しながらも、参加者ではぐれてる人とかいたらさりげなく話しかけるような気遣いも当然求めれます。まぁそんなわけで食材の調達から会の運営、参加者とのプロアクティブなコミュニケーションなどのゼネラルな能力が問われるそんなプロジェクトマネージャーとしてのケイパビリティを深化させることにつながってるように思うんです」

面接官 「なるほど、よくわかりました。ところでBBQって何ですか」

2010年5月21日金曜日

漱石からの学び

夏目漱石は云いました。

「自分の商売が次第に専門的に傾いてくる上に、生存競争のために、人一倍の仕事で済んだものが二倍三倍ないし四倍とどんどん速力を早めて追付かなければならないから、その方だけに時間と根気を費やしがちであると同時に、お隣の事や一軒おいたお隣の事が皆目分からなくなってしまうのであります」(『道楽と職業』)

社会の進化発展にしたがい職業の分化・専門家が進んでゆくが、それに伴い自分の担当分野のことしか見えない「片輪な人間」が増えていく。このような事態の打開策として、漱石はある種の「社交機関」の利用と文学書の耽読を挙げています。ともすればタコ壺に陥りがちな商社で働く人間にとって、平日は合コンに積極的に参加し、週末には渡辺淳一の世界にダイブインするという方向性はあながち間違っていないようです。

2010年5月20日木曜日

カジノ

「だって実際のところ、ロシア式のめちゃくちゃと、誠実な勤労によるドイツ式蓄財法と、いったいどっちが醜悪か、まだわからないでしょうに?」(ドストエフスキー『賭博者』)

カジノへ行ってきた。

写真は総合リゾート施設「マリーナ・ベイ・サンズ」の景観である。カジノもこの中に入っていて、三棟の高層ビルの上に乗っかっているナマズみたいなのは空中庭園。来月下旬にオープン予定らしい。


施設の中には高級ブランドショップがひしめいているが、まだ開店準備中の店も多く、7分咲きといった印象。シンガポールはこの種の見切り発車がとても多い。

建物の中に入るとさっそく「Casino/賭場」と書かれた案内を見つけたので迷わず入場。受付でパスポートとEP(Employment Pass)を何度も入念にチェックされる。シンガポーリアンは入場料を100ドル払わねばならない。システムでもって自国民を保護するあたり、いかにもシンガポールらしい。


カジノは2フロアあり相当広い。国立競技場の400メートルトラックをそのまま収容できそうなぐらい。ブラックジャックやバカラなどカードゲームもあるが、人だかりが絶えないのは「大小」だ。

要は丁半博打なのだが、サイコロが3つで、賭け方が細分化されている。もっともシンプルなのは3つを足した目が大か小か当てるというもの。ゾロ目をのぞき、11以上なら大・10以下なら小となる。当たったら掛金の2倍が返ってくる。出る目を「2・3・4」のようにピンポイントで賭けることができたり、3つのうち2つを予想する賭け方もあり、難易度(確率)に応じて倍率が異なる。台の隣には電光掲示板があり、過去出た目が「4・4・6 大」のように並んでいる。

最低掛金は1回あたり50ドル(3400円ぐらい)でやや重い気もしたが、たまたま1000ドル近く財布の中にあったので、強気で臨むことにした。蓋をされた箱のなかからサイコロの舞い踊る音が聞こえ、ディーラーの「Please bet」という声を皮切りに、台を取り巻く群衆から次々に掛金がテーブルの上に投げつけられる。取り巻きの国籍はさまざまだが、目が血走っている点は共通している。ある中国系のおっさんなどはポケットからしわくちゃの50ドル札をひねり出していて、「それカジノで使っていい金なんですか」と心配になる。

人の心配ばかりしてられないので、電光掲示板に目をやり、直近の実績を見ると、「小」が4回続いている。「サイコロを振る」という行為はそれぞれ独立した事象であり、確率論からいえば過去出た目は関係ないはずであるが、感覚的に「大」に50ドル賭けた。結果は「2・2・3」で負け。次こそはと思いまた大に50ドル。結果は「1・2・4」で負け。考えなおし小に50ドル。結果は「3・5・6」で大。だんだん頭に血が上ってきた。大に50ドル、結果は「4・4・4」、ゾロ目のため負け。気分転換にトイレへ。トイレで大のあと、大に50ドル、結果は「1・1・2」・・・(以後サライ的繰り返し)。

そうか、「賭場」は実のところ「屠場」だったのか。ふと沢木耕太郎『深夜特急』の一節が頭をよぎった。

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(賽を辞書で引くと)綴りはやはりDICEだった。
しかし意外だったのはそれが複数形で、賽の単数はDIEであると記されていたことだった。DIE、つまり死だ。
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カジノ場を出て仰ぎみた夕日はどこか哀しげであった。-完-

2010年5月7日金曜日

海運小咄「ケミカルタンカー」

ケミカルタンカーって見たことあります?「船が座礁して原油流出しちゃった」系のニュースで出てくるアレと似たようなものです。外観はテレビや新聞などで見たことある人多いと思うんですけど、中身がどうなってるかって実はあまり知られていないのではないでしょうか。

タンカー(Tanker)というだけあって中身は当然タンク(Tank)なのですが、内部は隔壁で複数のタンクに区切られているんです。これによって色々な種類の液体をまとめて同じ船に積むことができるわけですね。そして本船進行方向に向かって左側にあるタンクをPタンク、右側をSタンクっていいます。なぜか?

船の世界において船は右側よりも左側のほうが見た目が美しいと信じられていて、船が入港する際は必ず本船左側を陸地につけるんです。港(Port)で待っている人に見せる、したがって左側はPだと。一方で右側には船長室があるんですね。かつて船長は星空(Star)を見上げて本船の位置を把握していました。ということで、右側はSっていうことになります。

ともっともらしく語ってみましたが、耳学問のため真偽は不明です。あしからず。

2010年5月6日木曜日

久石譲が神な件

昨年の大晦日に久石譲のコンサートにいってきたのですけど、もし仮に将来宇宙人と出会うことがあったとして、言葉や文化など一切共通点がなかったとしても、久石譲の音楽の素晴らしさだけは共有することができるんじゃないだろうかという可能性を感じさせるものでした。

かたやシンフォニーホールのアピールポイントである「残響2秒」。こちらは他のコンサートホールと何が違うのか理解できず、「海洋深層水から採れた塩」と同じカテゴリーに仕分けされたこと申し添えます。

2010年5月5日水曜日

Singaporean Joke

当地で見聞した小咄。

Father: 'I want you to marry a girl of my choice'

Son: 'I will choose my own bride!'

Father: 'But the girl is Bill Gates's daughter.'

Son: 'Well, in that case...ok'

Next Father approaches Bill Gates.

Father: 'I have a husband for your daughter.'

Bill Gates: 'But my daughter is too young to marry!'

Father: 'But this young man is a vice-president of the World Bank.'

Bill Gates: 'Ah, in that case...ok'

Finally Father goes to see the president of the World Bank.

Father: 'I have a young man to be recommended as a vice-president. '

President: 'But I already have more vice- presidents than I need!'

Father: 'But this young man is Bill Gates's son-in-law.'

President: 'Ah, in that case...ok'

This is how business is done!!

Moral: Even If you have nothing, You can get Anything. But your attitude should be positive.

2010年5月4日火曜日

稀代の物流担当者

司馬遼太郎『関ヶ原』に次のような一節がある。

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船は四万艘ある。兵は二十万人。さらに馬や、兵糧、馬糧、硝薬、弾丸、矢。これらを輸送するのに、まず船の割りあてをし、ついで朝鮮へ送りとどけてから空船は対馬にさしもどし、そこからまた積んでゆく。空船が海上にいる時間をできるだけ少なくし、満船の回転をよくするには、満船、空船の速度、積みおろし時間、軍船と荷物船のかねあいなど、複雑な計算の基礎が要る。三成はそれをとどこおりなくやってのけたが、これだけの大軍を輸送するばあいの、これは世界史上の稀有な成功といっていい。
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石田三成は秀吉の朝鮮出兵のさい兵站(ロジスティクスとも)を担当し、兵糧や武器の前線への供給を途切れさせることがなかったそうだ。

商社で物流を生業にしていると、このことの凄さがよりくっきりとした輪郭をもって伝わってくるのである。
現代の経営者が孫子の兵法から戦略論を学ぶように、三成の配船術からこんにちの物流業務に活かせるものがあるやもしれぬ。誰か研究した人が過去にいたなら是非レポートを読んでみたいものだ。

・電話やe-mailがない世の中でどのように四万艘もの船を統率したのか。
・三成の船積み管理表はどんな様式だったのか。
・オペレーションの意思決定ルートはどうなっていたのか。
などなど興味は尽きない。

ちなみに当社では、「物流業務」という言葉をカタカナに直すと、「ロジスティクス」と「デリバリー」という二つの言葉に分かれる。ロジスティクスが戦略的・主体的な物流オペレーションを意味するのに対し、デリバリーは右から左へモノを流すメッセンジャーボーイ的な仕事っぷりを指すことが多い。

使用例)
「いい加減、デリバリーマンは早く卒業しないとな」
「なんだかんだいってロジスティクスが商社の究極的なファンクションだよね」

2010年5月3日月曜日

感謝問答

昼下がりのオフィスで。

事務員「仕事片付けておいたわよ」

FJB「Thank you」

事務員「Thank youだけ?」

FJB「Thank you very much」

事務員「あなたCreativeね」 

2010年5月2日日曜日

代表的商社人

--日系便器メーカー・ベンツーの会議室にて

課長:部長、わが社も今年で創業50周年を迎えました。国内におけるわが社のマーケットシェアは80%を超え、日本の便器の歴史はわが社が作ったといっても過言ではないほどです。しかし、海外では外資系便器メーカーに押されており、進出が遅れている状態です。この節目に海外進出を検討されてはいかがでしょうか?

部長:むむ、たしかに社長も年初の挨拶で、「既存のマーケットに安住していてはいかん」とおっしゃっていたしなあ。社名を「便通」から「BENTSU」に変えたのも、海外進出を見据えてのことだ。しかしひとくちに「海外進出」といっても、具体的にどこの国でどういうニーズがあるのかわからんじゃないか。コネクションもないし。

係長:国内のネットワークと商品のクオリティの高さではわが社の右に出る企業はいないんですがねえ。

課長:あ、そうだ!部長、このまえ合コ…いや異業種交流会で知り合った五井商事のヤツに頼めばなんとかしてくれるかもしれません。

部長:本当かね。あまり期待はしてないが、とりあえず話をふるだけふってみてくれたまえ。というか、私も合コンに誘ってほしいんだが。

--ある金曜の夜7時、五井商事本社にて

プルルルル

商社マン:(電話かよ、帰ろうとしてたのに・・)はい、五井商事です。

課長:やあ、おれおれ。元気?うちの会社さ、いま海外進出考えてるんだわ。世界のトイレ事情をリサーチして資料に落とし込んでみてよ。来週あたままでに。じゃ、よろしく!ブチッ

商社マン:・・・。「よろしく!」じゃねえよ!こっちはデートの予定が入ってるってのに…。まぁ仕方ない、入社以来こんなことは日常茶飯事だ。もしかしたらビッグビジネスになるかもしれないし、持ち前の前向きさでがんばるか。

社内外の人的ネットワークを使って世界のトイレ事情をリサーチした結果、南米の発展途上国Aが慢性的な便器不足に悩んでいて、A国政府が便器の供給元を探していることがわかった。成功すれば数十億円規模のビジネスになりそうだ。

--翌週月曜の昼、ベンツー本社ロビーにて

課長:いやーよく出来てるよ、この資料!ウチの部長も感心してたよ!!ただニーズがあるのはわかったが、どうやってウチの商品を売っていけばいいんだい?ボクはこの国の名前すら聞いたことがないんだが…。

商社マン:この国にはわが社の駐在所がありまして、駐在員が日々情報収集および政府高官との人脈形成に勤しんでおりますので、心配には及びません。つきましては、御社とわが社で出資して当地に合弁会社を立ち上げ、製品を流していきたいと思います。また製品の輸送に関しましても、わが社で船舶を用意致します。

課長:ふーむ、もっともらしく聞こえるけど、本当に大丈夫なの?発展途上国にありがちな債務不履行になったりしないのか?

商社マン:そのリスクはわが社がとりますので、大丈夫です。

課長:そうなのか。しかし行ったこともない国に商品を売るというのはなあ…。部長もそんへんを心配していて、いちど現地を見てみたいと言ってるんだよ。どうしたもんかなぁ。

商社マン:お任せください。現地の駐在員に当地を案内させるよう手配いたします。

課長:気が利くねえ。期待してるよ!

--A国にて

部長:暑いなあ。衛生環境も整ってないようだし…。キミも大変だねえ、こんなところで何年も生活しなきゃならないなんて。

駐在員:私も最初は度肝をぬかれましたが、慣れてしまえばなんてことないですよ。それはさておき、課長殿のために、3日でこの国の観光名所を全て回れるようスケジュールを組みました。楽しみにしていてください。

部長:ふほほ、至れりつくせりだな。ボクは五井商事を高く評価しとるよぉ。

その後、当初の目論見どおり、ベンツーと五井商事で当地に合弁会社を立ち上げることとなり、これが大成功。ベンツーはマーケットシェアを拡大、五井商事には売上の10%が報酬として支払われることとなった。

■まとめ
・総合商社の仕事は、他の会社がやりたがらない案件(リスクがでかい、面倒くさい、海外にコネクションがない等の理由で)を引き受け、実行することです。
・総合商社は創業以来培ってきた国際的ネットワークと既存のビジネスで稼いだお金、商社マンそれぞれの人的パワーで、そういう類いの案件を処理していきます。
・ 入社後、聞いたことのない国や商品の担当になる能性もありますが、その反面、ビジネスの可能性は無限大!(のはず)

2010年5月1日土曜日

モヤイ

街を歩いていたら、モアイ顔の人を見かけた。
その顔にインスピレーションを感じ、モアイについて調べていたら、「もやい」なる言葉が存在することを知った。以下はgoo辞書による定義である。

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もやい もやひ 0 【▽催▽合い/▽最▽合い】他の人と共同して事をしたり物を所有したりすること。おもやい。「―傘」「私はあなたと―にするかと思へば/谷間の姫百合(謙澄)」
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さらに派生して「力を合わせる」「助け合う」などの意味をもつこの言葉は、かの有名なモヤイ像にも込められたメッセージらしい。ウィキペディアには次のような説明がある。

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「モヤイ」はモアイを真似た名前であるが、同時に、日本語の動詞「舫う」(船を綱で繋ぎ留める)「催合う、最合う」(力を合わせる、助け合う、共同作業をする、共同で使用する)の意もあり、後者は日本の多くの地方では今では使われなくなった言葉だが、新島では使われているという。
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そもそもモアイも先人たちの共同作業によって生まれた歴史的産物のはずである。古代日本でわれわれの祖先がもやいながら生活を営んでいた一方、はるか海のかなたで「おもやい」の結晶たるモアイ像が造られていたことは偶然ではあるまい。

おもやひて もやしもやされ 国栄え